人の目システムの働き

 これまでの話しは、全ての生物(動物や昆虫など)は、太陽光の下での生活で、(夫々の生活に合わせて)視覚の(構造や方式・精度)などを発展させてきました。 だから殆どは(光りによる視覚)ですが、中には(蝙蝠やイルカのレーダーや深海生物など)特殊な技術を発達させた者もいます。
 生物の種類によって、目に求められる(性能・目的・構造・方式・動作・・)なども違いますが・・、まづ「人の目」について、これらの性能追及がどうなっているのか・・などを探ることにしましょう。

 ≪人の目システムの働き≫

(明暗の範囲)
  人が扱う明暗の範囲は、夜の星明り(0.0005Lux)から、日中の太陽(100万Lux)まで、約 1億倍(25Lv)もの広範囲に及びますが・・、
 私達の目が(同一視野内で)見得る 明暗の範囲は(10〜100倍、カメラは6Lv)と、意外に狭いのです。
 また、(明暗は光の強度)と思っていますが違います。 光の強度は物理的な絶対量ですが、明るい暗いは、相対的な比較の話しです。
 私達の目は、常に(眩しからず暗からず)の範囲に(光の量)を調節(※)して明るさを保っているので、そのときの(明るさの範囲で、明るい、暗い)と比較しています。
 ← (光の状態が変わったとき(物理値)はその都度変化しますが・・周りの物との相対比で明るさを表しているなら(一々訂正は要らず)この方が便利なのです。

(主尺と副尺の方式)
 また昼夜などで、実際の光強度は大幅に変化するので、明るさ比較を行う場合は、その場の明るさを(基準値)として、個々の詳細な値を精度を高く読み取る・・「主尺副尺の二段構えの方式」で、検測制度を上げているのです。

 (センサーの感度)
 筆者が作った「センサーの感度図を、(昨日の図中下段)に掲載しましたが、4枚のグラフは(本来は全く別のグラフなので(ケースによっては)切り離して考えて下さい。

 (桿体センサー)
* 高感度で、グラフは(点線)で一番下へ大きく突出したモノです。
* 感度帯域の幅はLMS感度全域を含んで(短波長側では、更に広く拡がっています)。
* 桿体の動作範囲は、帯域もレベルも(可視光線範囲外も含んで)、入力光のすべてを(基準レベルも)表していると思われます。

 (錐体センサー)
 昼間の太陽光で働く、色用のセンサーで、長さが違う三種類(LMS)があり、三者の感度特性(波長域や最少感度レベル)も微妙に違っていますが、理由は分っていません。
 当初は、この三者を(赤.緑.青)センサーと呼んで、これが三原色の原因としましたが(違ったようです)
 ← 筆者は、色に関わる全く別の(3つの要素)のデータ(※)を集めていてこれを直交座標で突合せた(色立方体)で色が決定される、と考えています。
※ 3種のデータについて、これまでのような同種の色ではナク、3つ全く別種のモノと考えます。 

 (移動平均と偏差)
 色センサーにおける(情報収集の都合から)各画素の感度値は、画面全体の「平均値(基準)と偏差値」で与えられる(7.27)と言いました。
 人の目は、画像を(静止画でなく)常に動画で扱うので、データ収集も「画面データの移動平均値と偏差」の形で行われます。
← 動画の画面内容は(連続的に変化する画面で)急激な画面変化は少ないとの前提です。

 (色基点の調整)
 LMSの各センサー夫々はデータを集めるので、データの平均値は、画像内容によって違います。
 ← 夕陽や電灯光のように、光源光の赤味が強いと、(Lデータ)の平均値が大きく偏ります・・
 このように光源光の色が偏った場合は、センサーの読取り基準値を動かして(色バランス=色順応)が修正が出来ます。
 ← 実際には、L.M.Sの3センサーの動作基準値を(桿体センサーの値)に揃えているので、夕陽の色の修正や地表大気の(緑色を無色に)などの修正が、自動的に行われる、と考えられます。

 (今日の図面)
 図面は左から。色温度による分布傾斜と感度曲線の突合せです。 光レベルを図のような位置に合わせると、センサー感度の分布域が微妙に働いて色が変わることが読み取れます。
 右側は、赤色光のレベル変化。(中下)は青色光のレベル変化の様子です。
 右下は、露光量を倍々に変化したときの色変化です。