屈折の話し

 これまでの(光と色の話)で、光の波長分布が色感覚(色相)の原因のようです。
 (波長と色の関係)については(ニュートンの分光(スペクトル)実験、1666)が余りにも有名ですが、このレンズによる「波の屈折現象」が(波が色を表す原因)だったのです。

 (ホイヘンスの原理)

 高校の教科書などでは、第1図(左)のように、屈折率の異なる2つの媒質(例えば空気と水)の境界面に光が 進入するとき、第2図(中上)のように、AとBに到達する光の時間差で波面は(BとB’に進む)ので、光の進路が屈折する。と説明されます。
 そして、(右上)のように、反射波は(入射角=反射角)。屈折の法則として(屈折率と屈折角)または、(屈折率は速さまたは波長の比)が示されます。
 このあと、多くの試験用の問題が出されて、「屈折の原理や現象を理解して応用せよ」と言うのですが・・、充分に理解出来る人が、どれだけ居るのでしょうか?・・。

 (全反射)
 「反射」は、上記のような(光の進行方向)について、入射角度と同じ(法線に対する)反射角度で(他の要素は何等変わらず)進行する・・、と(自分で決め付けて勝手に)卒業する人が多いのです。 ←(少し詳しい解析では、反射波の位相が界面で反転することが大きい問題ですが・・知らない)
 いま仮に、第1図の屈折波の到着点に発光器を置いて、光の進路を逆に追って見ます
 発光器の位置を右に移動させる(入射波の光源位置は次第に水平に近くへ下がり)遂に水平になり、更に光源を左に移動すると、入射波光源の高さは水面下になります。
 つまり、水面下から低角度で発射された光は、水面で下向きに反射され、水面より上の空気層へ屈折で出ることはナイのです。
 これを「全反射」と言い(界面屈折による減衰がナイので)現在では電話などの通信用の(透明な光ケーブル)に利用されています。

 (偏波面)
 光は横波だったので、進行方向に対して(上下左右)の方向成分を持っています。
いまこの光を、偏光レンズで上下の垂直偏波と水平偏波の波に分けると、垂直偏波の光は上記(ホイヘンス時間差で)屈折しますが、水平偏波の光は水面に同時到着なので屈折現象は起こりません。
 従って前項の屈折は、正確に光素子の進行方向の原理を説明したもので(実際の光は多くの波長や偏光角度の波が集まったものなので)一般光の光の代表的なコースということです。

 ※ 光は、色々の光素子が数多く集まって、初めて光になる(性質を示すもので)、単一の波長や同じ性質のものだけが集まっているコトはナイのです。
 ※ 物理では物事の原理を分り易く説明するために、現象を画一的に単純化すことが多いのですが、その結果だけで、他を認めないのは誤りです。 一つの結果のみに拘らるのではナク、何が省略され、それをどう扱うのかなど・・結果を正しく評価して、考え直す度量が要るのです