視覚の基本は明暗

 
  (視覚の基本は明暗)
 色彩の書物を開くと、どの本も第1章は「光と色」で、ニュートンの分光実験から三原色の話になり、色の混合配分の話しへ続きます。
 昨日お話しをしたように、人や動物は、視覚(構造・働き)を備えて、その生活に利用しています。
 だから、視覚の本来の目的は、生活利用のために(光の有無・強弱を通して、物の輪郭や(キレイ・目立つ・美味しそう)などの色彩感覚は(情緒的なもので)2義的・補助的な感覚と思われます。
 旧色彩学の誤りは、視覚の中で最も重要な要素「(明暗)が理解出来ず」、白黒を色として認識出来ず(無視した)・・ことにあります。
 ← (このような「間違った色彩感覚」からは1日も早く脱出して下さいネ)

可視光線の範囲)
 (光があるから明るく無ければ暗い)と簡単に考えますが・・、光(電磁波)の範囲は非常に広く(電波法の定義、30〜300万キロヘルツ)、私たちが明るさや色を感じる(可視光線)の波長範囲は(380〜780nm ←500テラヘルツ)とされています。

(明るさ範囲)
 光が強く明る過ぎても眩しく危険です、晴天時の昼間の太陽光の明るさで10万ルックス程度です。 暗い方では、夜間の星明り(都会はダメ)で(0.001)ルックス、とのことなので、実に1億倍(27Lv)もの明るさの違いがあります。

(明るさ感覚は比率で感じる)
 暗い部屋では、豆電球でも結構明るさを感じて物を見ることは出来ます。
 いま蛍光灯を1つ点灯すると、豆球よりは随分明るくなります、 が・・さらにもう1つ点灯すると(光は2倍ですが)明るさは(光の強さに比例せず)平方根で上がります。 ← (人の感覚は、刺激の対数値で上昇する(フェヒナー則)のです。
 だから明るさで(光の強さ)を扱う場合には、光の強度値でなく(明るさ比率)で扱った方が(数値が扱い易く分かり良い)のです。

 (同時に見得る明るさの範囲)
 人が同時に見得る明るさの範囲は、意外に狭く(明る過ぎても暗過ぎても上手くモノが見エズ)数Lv程度(カメラの明暗の調節範囲は16倍(+−2Lv程度)です。
 いま受けている光強度の最大を100%とすると、(80%以上は白く眩しい。40%で少し明るい。20%は平均的な中間の明るさ。10%で少し暗い。 5%以下では暗く(黒く)て見えにくい、といった感じです。 だから(カメラ屋さんは、平均的な光強度は(手の平の明るさ18%程度)とします)

(主尺と副尺)
 人の目は、画面の明るさを測るとき(安全のため、絞り機構を使って)明るいレベルの光から集め、順次暗いレベルへと移行して行きます。
 人の目が同時に扱える光の強度範囲は数Lv程度なので、平均より、レベルが大きく違う部分は(白の超過や、黒限界以下(オーバーまたはアンダーフローデータ)として、正規の処理範囲から外されます。
 雲が出たり、朝夕など全体的な(大きなレベル変化に対して)全体の動作レベルを(主尺副尺)のようにぢ移動させて対応します。 これによって広範囲に検測精度を高めることが出来ます。

(ブリュッケ図)
 三原色説では、一定の波長帯域の光が色光を構成し、その混合比率で色が決まる、ことになっています。 しかし実際には上の図面に見られるように、「波長と色の対応」は光の明るさで大きく変化(移動)するのです。 (このことを一般用書籍では隠しています)

※ 今日の話は、視覚の主力は明暗で、色はその中の一部に過ぎない。明暗がワカナイで色は語れナイ・・と言うことです。