第一章 視覚 


(本日の図面は(PCCS色相環←実際感覚の色配置に近い)日本の標準です)、筆者の色立方体に似てきた?‥ようですネ)
 お待たせをしました。 これまでの内容は、予講(現行色彩学の疑問と色彩物理の基礎)としときましょう。 これからが本番の「新しい色彩学」の再開です。

 これまでの色彩学は「光があるから色が見える ←太陽光は全色(光)であり、物体の表面や色料は特定の色光を選別反射するので色になる」だから(色光の加減で色が作れる)という解析や推論を試みてきました。
19世紀中頃には(光は電波)が示されましたが(電波を理解できずに)その後さらに混迷を深めてきました。 
 我々はいま、(色料や光が=色ではない)ことを‥(目と頭脳の視覚システムが色を見せる)ことも知識として知っています。 光の物理についても正しい見方を或る程度身に着けました。
 だから今こそ、実際に色を探り、本質を見極め(生成の過程と完成の形や特質を探り規定する)→利用面への道を開くときなのです。
 
  第一章 視覚
 色は(光と目)があって始めて見えるのですが、「光」についてはこれまでにも触れてきたので、これからは、人の目(視覚システム)がどのように「色を知覚するのか?」を探って行くことにしましょう。

(1) 視覚の発展
  視覚は、アメーバなどが光に反応して集まる→(単なる明暗)反応が始めだろうと思います。その後色んな生物(植物も)達が、食料確保・危険を回避など‥生命維持のため必要不可欠な(知覚)となり、夫々が自分に合うように発達させてきたようです。
 始めは、単なる明暗感知だけだったが、次第に数(センサー)を増やし集団の力で、明暗の感度を上げ、方角を見定めるようになり、更に進んで平面的な環境把握を目指し、さらに空間的な位置関係(立体)へと進んだと思われます。
 トンボの目は、望遠鏡を立体放射状に敷き詰めた(複眼)になっています。 鳥や魚は動態視力が優れています、水中の揺れ動きや、高度からの地上監視・空中戦に対応するため時間差映像機能や、人とは違う波長域による解析機能など‥、蝙蝠やイルカはレーダーを持っています、蛍のように光通信をするものなど‥特定の機能を発達させているようです。
 人や他の多くの動物が単眼(レンズ)に網膜と言う構成を採っています。 光学的な機構の優劣は別にして、取得画像の頭脳解析の点ではこちらが有利なのだと思います。
(目の形ではないので視覚ではないがが)旨く光を利用している点では、むしろ植物の方が本命といえますね。

(2) 人の目
 人の目が、他の動物より優れているか劣っているか?‥ ある程度の構造(解剖結果)や部分的な性能‥等は出されていますが(全ての優劣比較はムリです)、事後のデータ処理(蓄積・解析・記憶‥といった頭脳領域)では、かなりいい線だろう‥、と思うのですが
 近年、医(解剖)学的な知見が多く寄せられ、かなり詳細な(目の構造や働き)が判ってきました。 私達が(この分野に直接入ることは出来ませんが)報告された成果を受け入れて、自分達の経験・知見などとも照合・検討して、正しく範囲を広げてゆく行くことが求められます。