散乱反射と透過 

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 物理(学)では分かり易くするため、物事を単純化して考えます、そのため実際の状況と食違うこともよく起こります。途端に(×)を出すのでなく、筋道をよく考えて見ましょう。

(1)反射と屈折
 上は、反射と屈折では定番の(ホイヘンスの図2010.1.18)です。この図から、水面に向かう光の(一部が水面で反射し残りが水中に進む)と解釈するのが普通です。 でもこれは、代表(特徴)的な光の進行方向を示したもので、その他の光について説明していないのです。
 特にこの反射は完全(鏡面)反射と呼ばれるもので、色彩の話の散乱(拡散)反射とは違っています。

(2)散乱(拡散)反射光
 物体の表面から内部に進入した光は、度重なる(分子などに衝突)進路変更で、その方向はバラバラになります(拡散)。これらの一部は表面に向かって元の(空中など‥)に帰るものがあります。このときの深さはミクロン程度なので(表面)(反射)と言われれますが、‥
 物質内部(表層)を潜り抜け得た光で反射光ではありません。「表層散乱光」と言ったところです。 
(3)吸収
 内部で、物質の分子と衝突を繰り返すうちに、エネルギーを使い果たして消えるものがあります。これを(吸収)されたと言いますが、このとき温度が上昇しており、光のエネルギーは(熱に変換)されたのです。

(4)透過
 気体や液体の中では分子の並びが余り密ではないので、長波長の光は(屈折と減衰を受けながら)も奥へ奥へと進行することができます。
 減衰度は波長によって異なるため、漏波(フィルター)特性を示すことになります。(波長指定と通過距離の減衰度に注意です)
 宝石などの結晶では整然と分子が並ぶので、格子列と波長の関係で一定波長のみが一気に通過できることがあります。これらが物質内部を通過した「透過光」と言います。

(5)散乱角度特性
 散乱と言っても常に完全拡散することはありません。物質は波長を選ぶし入射角度によっても出力光の分布は違います。(写真などを斜めに透かすと色が変わる)

(透過光と散乱光)
  散乱反射は物質表面の(点から全方向に)広がるので、光は極端に弱くなります。昼は明るいので、太陽光の散乱光を見ていますが、夜は自発光または透過してきた光です。弱い光ですが意外に遠くへ届きます。
 散乱光は、そこからの拡散なので(距離の減衰度は仕切り直し)になります。(←遠距離には殆ど届かない)
 (結晶など、完全に整列された光では距離減衰はない、←キラリと刺すように光る)